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2025/01/27
ニュースリリース

温室効果ガスを従来方式に比べて最大62%削減!
カレット熔解炉向け水素混焼酸素富化バーナを開発

日本酸素ホールディングスグループの日本産業ガス事業会社である大陽日酸株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:永田研二、以下 当社)は、株式会社オハラ(代表取締役社長執行役員:齋藤 弘和)と温室効果ガス(GHG)排出削減を目的とした新型カレット※1熔解炉に使用する水素混焼酸素富化バーナを共同で開発しました。今回の開発により、GHG排出量は従来の空気バーナに比べて、最大62%削減が可能になります。今後も当社はカーボンニュートラル(CN)へ向けた様々な工業炉プロセスへの酸素燃焼技術適用に向けた技術開発を進めます。
※1:カレットとは細かく砕いた破片状のガラスのこと。

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1. 開発の概要
 開発した水素混焼酸素富化バーナは、カレット熔解炉の燃焼に用いられ、酸素濃度および天然ガスと水素の混合比率を適宜切り替えることが可能です。模擬カレット熔解炉試験では、酸素濃度を25%、30%、40%の3条件および水素混焼率を10%、20%、30%の3条件で実施し、いずれの方法でも、空気バーナに比べて、最大62%から29%のGHG排出削減を達成しました(詳細は図1参照)。また、従来の空気バーナと同等の加熱性能(昇温性、均熱性)を持ち、排気ガスの中に含まれるNOx濃度は排出基準値を下回る結果となりました。
 当社では、CN実現に向けて、当社グループの環境貢献製商品によるお客様のGHG削減に取り組んでおり、酸素(富化)燃焼技術による工業炉プロセスのCO2削減提案を行っております。酸素(富化)燃焼は空気燃焼と比較してエネルギー効率が高く、燃料を従来方式に比べて大幅に削減でき、重油や天然ガスなどの化石燃料使用時のCO2削減が可能です。
 


図1 模擬カレット熔解炉 空気燃焼比GHG排出削減率
(炉内温度1200℃)


2. 開発の背景
 日本国内で排出される年間約11.2億トンのCO2のうち、35%は産業分野によるもので、多くの工業炉から排出されています(2019年度)。2050年のCN実現には、国内に約3.7万基存在するとされる工業炉のGHG排出削減策を講じる必要があり、酸素燃焼技術は、その有効な手段の一つとされています。
 当社では、カーボンフリー燃料である水素やアンモニアを用いた燃焼技術の開発を行っており、工業炉分野でのGHG排出削減に向け、様々な選択肢をお客様へ提案できるよう努めています。そこでこの度、株式会社オハラと共同で新型カレット熔解炉※2向けの水素混焼酸素富化バーナを開発しました。
※2:オハラの光学ガラスは、品質および生産効率向上を目的に2段階熔解を行っています。1段階目の熔解工程で得られるガラスは製品としては用いず、細かく砕いた破片状のガラスである「カレット」にします。その後、異なる屈折率をもつ2種類のカレットを調合し、2段階目の熔解を行います。この工程を経ることで、2段階目の熔解でガラスの組成変動が起こりにくくなり、目的の屈折率を有するガラスを正確に製造できる利点があります。 


本件に関するお問い合わせ

大陽日酸株式会社
広報部: 03-5788-8015

製品に関するお問い合わせ
工業ガスユニット
ガス事業部 営業開発部
03-5788-8305