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2025/03/19
ニュースリリース

CO2排出量を従来の空気燃焼バーナに比べて最大65%削減
ガラス製造プロセス向け酸素燃焼バーナ「Innova-Jet Forehearth」実証

日本酸素ホールディングスグループの日本産業ガス事業会社である大陽日酸株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:永田研二、以下 当社)と、欧州産業ガス事業会社のNippon Gases Euro-Holding S.L.U.(本社:スペイン マドリード、代表取締役社長:ラウル・ジュディチ、以下 NGE)は、欧州の顧客の生産設備に導入したガラス製造プロセス向け酸素燃焼バーナ「Innova-Jet Forehearth」で実証試験を実施し、CO2排出量が65%削減されることを実証しました。当社は国内に数多くある工業炉からのCO2排出量を削減しカーボンニュートラル(CN)社会実現に貢献するため、様々な工業炉プロセスへの酸素燃焼技術適用に向けた技術開発を進めています。

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1.実証試験の結果


図1 従来の操業とInnova-JetⓇ Forehearth導入後の操業

表1 実証試験結果


 当社およびNGEは、欧州の顧客工場のフォアハース※1に「Innova-Jet Forehearth」を導入し、実証試験を実施しました。従来12基設置されていた空気燃焼バーナを「Innova-Jet Forehearth」4基に削減し試験を行った結果、局所過熱等の異常なくフォアハースを均一に加熱できること、また従来と比較して燃料を65%削減できることを確認しました。さらに、バーナ基数が削減できることにより、バーナのメンテンナンス個数を減らせるなど、「Innova-Jet Forehearth」には操業上の利点もあることが分かりました。
 当社とNGEは、今後もガラス製造プロセスをはじめ各種工業分野のお客様のニーズに対応可能な酸素燃焼バーナの設計を行い、低環境負荷の実現に貢献します。
※1:フォアハースはガラス溶解炉で溶融されたガラスを、瓶や繊維に成型する成型機に分配する役割を担っており、長いトンネル状の形状を有しています。フォアハースではガラスを溶融状態に維持するために、フォアハース内は均一かつ高い温度に保つ必要があります。

2. 技術の概要
 ガラス製造プロセスにおいて溶融ガラスの温度保持を担うフォアハースでは、プロセス全体の6%から45%の燃料が消費されています。フォアハースは一般に空気燃焼バーナが用いられているため、酸素燃焼の導入により燃料削減が可能となります。当社では酸素燃焼バーナのラインナップとして、フォアハース向け酸素燃焼バーナ「Innova-Jet Forehearth」を2018年に上市しています。
 「Innova-Jet Forehearth」は酸素燃焼技術を用いて熱効率を大幅に向上させるとともに、フォアハース等の燃焼空間の小さな炉に対して、自励振動現象※2 を利用して火炎を振動させ、広い領域を均一加熱する特長を持っています。
※2:自励振動現象とは、ノズルから噴出する流体の流れが近傍の壁面に沿って流れる「コアンダ効果」と呼ばれる流体現象を応用した技術です。この現象をバーナに応用することで火炎の向きを周期的に変化させることができます。


図2 自励振動の原理 (上) 、Innova-Jet Forehearth 写真 (下)


本件に関するお問い合わせ

大陽日酸株式会社
広報部: 03-5788-8015

製品に関するお問い合わせ
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ガス事業部 営業開発部
03-5788-8305